阿部公房「砂の女」読了。エンターテイメントとしての小説と、芸術作品としての小説、どちらの要素を含み、文芸作品として中庸を得た作品。何ヶ国語か忘れたけど世界各地で読まれているらしい、この世界観は外国人受けがいいのだろうか、フランスあたりの前…

宮本輝「春の夢」読了。良し悪しを語るのではなく、確認作業のように読書をする毎日。小説とはこうあるべきであるという理想論ばかり追いかける毎日。宮本輝さんは声を大にして「僕の尊敬する人」と言うことができる唯一の作家。

最近は大江健三郎などを読んで暗い気分になりながら、部屋の隅のほうで爪の角を限界まで折り曲げたりしています。そしてつくづく思うのですが、やはり宮本輝はいいなぁ、と。彼や大江健三郎が純文学の枠の中に入るのなら、(というかそう呼ばないと昨今の漫…

休みの間、村上春樹ばかり読んでいました。BBSでも村上春樹の名が連なるようになってきたので、(大した量を読まずに村上春樹を語るな!という無声のプレッシャーもあり)とにかく読んでから語ることにしました。「ノルウェイの森」を読みました。かなり有名…

村上春樹「神の子どもたちはみな踊る」読了。なんだか村上春樹ばっかり読んでる気がするけど、あんまり好きじゃないんです。今回のは短編集です。阪神淡路の地震にまつわるって感じだったけど、全然関係なくてびっくりした。地震じゃなくてもいいじゃんって…

宮本輝「道頓堀川」読了。これで川三部作は全部読みました。他の二作に比べて少し長い。また宮本輝褒めちぎり大会になりそうだから、今回は控えめに言いますけれど、やっぱり心が在るべき所に落ち着くような読後感は非の打ち所なし!ただ、やっぱり「蛍川」…

女性の権利の問題については、やはり女性の方が真剣に考えている場合が多いのだが、その多くの人々の論調はヒステリックで聞くに堪えないものばかり(内田春菊とか、千葉敦子とか)で嫌になる。どうも彼女らの目的が、男女平等ではなく、女性の権利向上のみ…

村上春樹「風の歌を聴け」読了。群像新人文学賞受賞作。 何かと芸術家きどりの若者(不思議少年、少女)に大人気の村上春樹ですが、その根幹はどんなものだろうと思って読んでみました。書き下ろし最新作の「海辺のカフカ」だとか比較的新しい作品と比べると…

「蛍川」読了。すごいすごいすごすぎる。最高のマスターピース、感動が溢れる。宮本輝は何を書いても傑作。昨今のゴミみたいな現代小説とは天と地ほどの差がある。人とはこう描かれるべき、日本文学とはかくあるべき。北日本文学賞の審査員をひとりで務める…

宮本輝の「泥の河」「蛍川」を読んでいる。泥の河は太宰治賞受賞、蛍川は芥川賞受賞、と宮本輝の代表作といってもいい作品。読後、改めて宮本輝はすごいのだ、と痛感した。非の打ち所が無いとはこのこと。すらりと読めてしまうのに、表現が贅沢なほど豊か。…