tomoro2003-12-01

休みの間、村上春樹ばかり読んでいました。BBSでも村上春樹の名が連なるようになってきたので、(大した量を読まずに村上春樹を語るな!という無声のプレッシャーもあり)とにかく読んでから語ることにしました。

ノルウェイの森」を読みました。かなり有名な作品です、多分。読む前に、どこかのサイトで「ノルウェイ〜」は「喪失」をテーマにしたものだと書いてあったのを読んでいたので、きっとなにか大変なものが失われるのだろうと期待していました。

上下に分かれるほどけっこう長い作品で、話の展開も中盤まではゆっくりと進んでいたけど、それでも読者を引き込み夢中にさせる魅力を感じました。

僕の感想(ランク付け)としては、「風の歌を聴け」よりは劣るけれど、その鮮烈で奇天烈な青春描写は依然として健在。理解不可能なメタファーも数少なく、(少々の不可解さはあったけれど、雰囲気づくりには適度だった)、青春をまさに謳歌している若者たちの心にも染み込みやすく加工してある、といった感じ。

ビートルズのくだりや、セックスの描写、感情の鮮やかな起伏、繊細な情景描写、どれもかなり良かった。読後感は最悪やったけどね。なんでやんねん!って感じやった。

あの、村上春樹の作品読んでていつも思うんだけど、彼の作品に秘められたすべてのメタファー、内在的意味を説明できないと、彼の作品を完全に理解したことにはならないと思う。僕のようにエンターテイメントとしての価値を問うアプローチははっきりいって凄く軽率だとは思うけど、言ってしまえばそれが全てだと思う。理解していないのに、手放しで顔を突き合わせたこともないオッサンの作品を賞賛するのは、かなりどうかと思う。

だから僕ははじめから理解することを放棄したい。読者が何を受け止めるのか、それが小説の全てだ!とぶつぶつ言う。

今は「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を読んでいます。また春樹です。海辺のカフカより数倍マシ。